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交響曲第25番 疾風怒涛の影響

モーツァルト 交響曲

長調の曲ばかりを作っていたモーツァルトにしては珍しく、短調の交響曲になります。第40番ト短調交響曲とこの曲の2曲だけが、モーツァルトの交響曲で短調のものになります。映画『アマデウス』の冒頭部分で使われて有名になった曲で、『シュトルム・ウント・ドランク』=疾風怒涛、モーツァルトにとってはまさにこの曲が疾風怒涛の影響を受けて作った曲なのです。何よりも驚くのが、この交響曲を作ったときのモーツァルトの年齢が、まだ17歳だったということです。やはり音楽家になる人間は、幼い頃から音楽に触れ、早い時期から作曲できるようです。

シュトルム・ウント・ドランク

シュトルム・ウント・ドランク=疾風怒涛は、1770年頃に、ドイツの文学を軸とする芸術分野で起った運動で、激しい感情表現を目指そうとするものでした。ゲーテやシラーが中心となり、反理性的で極端に主観的な判断に重点をおいていることが特徴です。音楽会にも強い影響を与え、特にオペラ分野がその影響を受けています。モーツァルトもまた、この疾風怒涛の影響を受けて、交響曲第25番を作り上げたのです。

楽器の編成

オーボエ2台、ファゴット2台、ホルン4台(第2楽章のみ2台)、弦五部で編成されています。この時代にホルンを4台使うと言うことはとても珍しく、響きを豊かにするのはもちろんのこと、その当時の自然管の楽器しかなく、短調の場合は出せる音も限られてしまい、G管とB♭管の両方を使うことでこうした欠点を補おうとしたものなのです。

曲構成

曲は第4楽章まであります。曲名を聞いてどんな曲か分からなくても、第1楽章を聞けば「これか!」と、誰もが思うでしょう。メディアでもけっこう流れているフレーズなので、知らぬ間に誰もが耳にしているはずの曲なのです。モーツァルトが17歳で作ったという若々しさ、雄々しさが感じられる作りになっています。

第1楽章 Allegro con brio(アレグロ コンブリオ)ト短調

映画『アマデウス』の冒頭に使われた楽章で、激しく感情が爆発する様、青春の叫びがメロディから感じ取ることができます。

第2楽章 Andante(アンダンテ)変ホ長調

第1楽章の短調から長調に変わり、ソナタ型式になっています。

第3楽章 Menuetto(メヌエット)ト短調-Trio(トリオ)ト長調

演奏は管楽器だけで行われ、のびのびとしたオーボエの旋律が気持ちを和やかにしてくれます。

第4楽章 Allegro(アレグロ)ト短調

第1楽章のメロディが盛り上がり部分で再現され、これにより、全体的な統一感のとれたまとまった楽章になります。

疾風怒涛

17歳の若きモーツァルトが作曲した交響曲第25番は、まさに疾風怒涛、シュトルム・ウント・ドランクの影響を受けているといえるでしょう。第1楽章はいきなりおどろおどろしいフレーズで始まります。迫力のあるフレーズが続き、オーボエの旋律が恐ろしげな曲だと揶揄する人もいます。第2楽章は静かな落ち着ける構成になっています。第3楽章はメヌエットでありながらそれを聞いて踊る事なんてできない雰囲気の3拍子の作りで、第4楽章に至っては、急速な感じで不安定さがあり、最後の最後まで気の許せない作りになっています。それでいて全体的にしっかりとまとまっていて、まさに疾風怒涛、シュトルム・ウント・ドランクなのです。この曲を聴いていると、若きモーツァルトの青春と煮えたぎる情熱を感じることができるでしょう。シュトルム・ウント・ドランクは言うなれば時代の流れで、モーツァルトは時代の流れをつかむのが得意としていて、この交響曲で見事にそれを表現しきったのです。この曲を聴くと、その技がいかに見事だったかが分かります。