モーツァルト,交響曲第41番.ジュピター

交響曲第41番ジュピター

モーツァルト 交響曲

モーツァルトが作った最期の交響曲の、交響曲第41番ハ長調は、ジュピターとも呼ばれています。完成は1788年8月10日と言われています。楽器の構成はフルート、オーボエ、ファゴット、ホルン、トランペット、ティンパニ、ヴァイオリン、ヴィラ、チェロ、コントラバスです。

ジュピターの命名

ジュピターというのは、ギリシャ神話の創造神ですが、このニックネームをつけたのはモーツァルトではありません。『モーツァルト巡礼(1955年)』によると、ドイツ出身の音楽家、ヨハン・ペーター・ザーロモンが名付けたとされています。曲のスケールの大きさ、荘厳で輝かしい曲想を的確に表した言葉でしょう。19世紀には、この交響曲をジュピターと呼ぶことが人々の間で広まっていたようです。

曲構成

曲は第4楽章まであり、交響曲第39番、40番と共に、『3大交響曲』と呼ばれています。各楽章のイメージを紹介しましょう。

第1楽章 Allegro Vivace(アレグロ ヴィバーチェ) ハ長調 ソナタ型式

壮大なイメージがいきなりドーンとくるイメージです。序奏がなく、迫力のある「ド」の連打に優しい旋律が溶け込んだ出だしで、いきなり心に響いてくる第1主題から始まります。盛り上がり部分では、第2主題の終りに出てくる軽快でコミカルな旋律のあとに、第1主題が展開されていきます。

第2楽章 Andante Cantabile(アンダンテ カンタービレ)へ長調 ソナタ型式

まるで歌っているような優美な曲です。盛り上がり部分では、第1主題と第2主題の間に演奏された短調の旋律が使われています。再現部は提示部に手を加えたものになり、楽章の最後に再度第1主題を演奏して終ります。

第3楽章 Menuetto(Allegretto)(メヌエット/アレグレット)ハ長調

メヌエットで緩やかに下降する主題で始まり、トランペットとティンパニで堂々としたイメージです。壮麗さが伝わってきます。

第4楽章 Molt Allegro(モルト アレグロ)ハ長調 ソナタ型式

様々な音楽家に影響を与えたジュピター音型で始まります。対立法が様々な素材を使い、イントロ、盛り上がり、再現部を通じて演奏されます。3重フーガの技法は素晴らしく、曲の最後までそのクラッシックの明快さと、壮大なイメージが繰り広げられます。『終曲にフーガをもつ交響曲』としても知られるのは、この第4楽章の壮大さにあるのかもしれません。

モーツァルトの最高傑作

モーツァルトはその生涯の中で、41本の交響曲を作っています。作品番号のないものも併せると46本です。その中でも、最後に作られた交響曲第41番ジュピターは最高傑作と言われています。たった2週間で作り上げたこの交響曲は、現在多くの人々に心が震えるほどの感動を与える音楽となっていますが、作られた当時はそうではありませんでした。人気が下降していたモーツァルトは、交響曲第39番、40番と共に、室内楽と声楽曲の、合わせて8曲を同時進行で作っていました。そして予約演奏会を行う予定だったのですが、予約してきたのはなんとたったの一人。そのためモーツァルトは仕方なく演奏会を中止せざるを得ない状況だったのです。音楽の都、ウィーンと呼ばれる都市でこのようなことが起きていたのです。こんな状況で作られたジュピターは、後世で素晴らしいものと評価され、モーツァルトの作った曲の中ではダントツの人気を誇り、聴くものだけではなく、演奏する者にまで感動を与える音楽となったのです。モーツァルトは曲を作るのに時間をかけませんでしたが、その短い時間の中で、素晴らしい作品を作り上げることができたというのは、曲の素晴らしさはさることながら、モーツァルトが天才だと呼ばれる一因になっています。